「あんなに振り込んだのに、なぜか打てなくなった」——その違和感は気のせいではありません。強化合宿は、やり方を間違えると選手を下手にします。合宿明けに打てなくなるのは努力不足ではなく、むしろ努力した結果。その仕組みを、新潟・体修塾BCAが解説します。
「たくさん振った」が、選手を下手にする
「振った本数」と「上手くなった」は別物
たくさん練習したという達成感はあるのに、合宿前より打てない。ここに落とし穴があります。「たくさん振った」という事実と、「上手くなった」という結果は、まったくの別物です。振り方を間違えたまま本数だけを重ねれば、間違ったスイングが身体に染み込んでいきます。
なぜ振り込むほど下手になるのか
人の身体には、繰り返した動きを自動化する仕組みがあります。問題は、これが「良い動き」と「悪い動き」を区別しないこと。疲労がたまると軸がぶれ、手だけでバットを操作し、下半身が使えなくなります。その崩れた状態で振り続けると、身体は崩れたフォームを「正解」として記憶します。合宿後半、疲れがピークでの数百スイングは、上達ではなく悪い癖を刻む作業になっている可能性があるのです。回数を重ねるほど、その崩れは抜けにくくなります。
合宿明けに振れなくなる、本当の理由
合宿明けにタイミングが合わないのは、練習が足りないからではありません。合宿で固めた崩れた動きが、そのまま出ているからです。一度染み込んだ動きはすぐには消えず、合宿後もしばらく残り続けます。だからこそ必要なのは、固まった悪い動きを一度リセットし、正しい動きを丁寧に上書きし直す作業です。がむしゃらに振って取り戻そうとするほど、崩れた動きを再び反復し、抜けるどころか深まってしまいます。
伸びる選手がやっている、たった一つの違い
伸びる選手は、やみくもに量をこなしません。違うのは「何を基準に練習を組み立てているか」。伸びない選手は「何本振ったか」で満足し、伸びる選手は「正しく振れたか」で判断します。崩れた動きで500本振るより、整った動きで100本振るほうが上達に直結します。彼らは回復も練習の一部として扱います。休むことは怠けではなく、良い動きを保つための戦略なのです。
上達に必要な3つの条件
- 正しい負荷:自分の身体の状態に合った、崩れない範囲での練習量
- 十分な回復:良い動きを再現できるコンディションを保つための休養
- 質の高い反復:崩れた状態ではなく、整った動きを繰り返すこと
どれか一つでも欠けると、努力は空回りします。今のスイングが整っているのか崩れているのか、自分一人で判断するのは難しい。だからこそ、正しい動きを見てくれる目が必要になります。その見極め方は、続きのnote記事でくわしく解説しています。
体修塾 Skill School
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