NATHAN LUKES
バットは、下から5番目に遅い。
28歳でデビューした遅咲きの打者。
ネイサン・ルークスという打者
2026年 MLB スイング速度ランキング ワースト10
まずは、今年のMLBでバットが一番遅い10人です。(平均バットスピード・時速。1位が最も遅い。右端は2026年の本塁打数)
リーグ平均は116.3km/h。この下位10人は、平均を7〜16km/h下回ります。
1位はクワン、2位はアラエス、3位はシンプソン、4位はメイドロス。そして5位が、今回の主役、ネイサン・ルークスです。
平均バットスピードは時速107.8km。2026年は打率.277、10本塁打。トロント・ブルージェイズの外野手として、125試合に出場しました。
ルークスの特別なところは、成績の数字だけではありません。メジャーデビューが28歳。8シーズンのマイナーリーグを経て、たどり着いた打者です。
107.8km/h
平均バットスピード
28豁ウ
メジャーデビュー
.277
打率
この記事では、まずルークスがどんな人物なのかを紹介します。
プロフィール
8シーズンのマイナーを経て、28歳でメジャーデビュー
ルークスは、カリフォルニア州のセンター高校から、カリフォルニア州立大学サクラメント校に進みました。3年間でチーム歴代最多となる通算244安打を記録しています。
2015年のドラフトで、クリーブランド・インディアンス(現ガーディアンズ)から7巡目で指名されます。ただ、そこからの道のりは長いものでした。
● 2015〜2016年:クリーブランドの傘下
● 2016〜2021年:タンパベイ・レイズの傘下
● 2022年:トロント・ブルージェイズの傘下(トリプルA)
8シーズンのマイナーリーグを経て、メジャーデビューは2023年3月30日。28歳でした。初本塁打は2024年9月28日。そして2025年には135試合で12本塁打を打つまでになります。
2026年は125試合に出場し、打率.277、10本塁打、41打点。苦労人が、遅い年齢でつかんだ居場所です。
2026年の成績
三振率は14.2%。MLB平均(22.1%)を大きく下回ります。四球率は5.6%で、MLB平均(8.9%)より低く、積極的に振っていく打者です。OPS.714は、MLB平均(約.718)とほぼ同じ水準です。
突出した数字があるわけではありません。ただ、バットスピードが下から5番目の打者が、リーグ平均並みのOPSを残している。そこに、ルークスの打撃の価値があります。
スイングのデータ:なぜ「下から5番目」なのか
スイング長1.94mは、規定スイング数以上の203人の中で、3番目に短い数字です(MLB平均は2.23m)。大振りをせず、短く、コンパクトに振る打者です。
空振り率は16.1%と、MLB平均(22.7%)より低く、芯で捉えた当たりは29.4%で、MLB平均(25.3%)を上回ります。
平均打球角度は7.8度。MLB平均(13.9度)より低く、ゴロとライナーで勝負するタイプです。打球速度は平均139.9km/h、最高173.0km/h。バットスピードが遅い分、打球速度も控えめです。
スイングのイメージ動画
2025年のルークスのハイライト動画です。大きく振り回すのではなく、短い距離でバットを出して、ボールを捉えるスイングに注目して見てください。
体修塾の見解:短く振る、という選択
クワンとアラエスは「当てる」、シンプソンは「走る」、メイドロスは「前で捉えて長打」でした。
ルークスが見せてくれるのは、「短く振る」という選択です。
身長180cm。バットスピードは下から5番目の107.8km/h。スイング長は、MLBで3番目に短い。大きく振って飛ばすのではなく、短い距離でバットを出して、ミスを減らしています。
107.8km/hのバットで、打球はどこまで飛ばせるか
体修塾の打撃教科書では、ボールを芯で捉えられたかを「スクエアアップ率」で測ります。
期待値最大打球速度(スクエアアップ率100%)
ヘッドスピード × 1.23 + 球速 × 0.23
スクエアアップ率 = 実測の打球速度 ÷ 期待値最大打球速度
目標は「スクエア80」(期待値の80%)
この式に、ルークスのバットスピード107.8km/hと、MLB平均の球速144.4km/hを当てはめます。
107.8 × 1.23 + 144.4 × 0.23 = 132.6 + 33.2
≈ 165.8km/h
これが、ルークスのスイングで芯に100%当たったときの期待値です。
実際の平均打球速度は139.9km/h。スクエアアップ率にすると、約84%になります。
MLB平均(約81%)を上回る約84%。バットスピードが約8km/h遅い中で、打球速度の差は約3km/hにまで縮まっています。遅いバットで出せる打球速度を、きちんと引き出している証拠です。
※球速はMLB全投球の平均値を使用。ルークスの最高打球速度173.0km/hは期待値165.8km/hを超えていますが、平均より速い球と速いスイングが重なった場合の数字です。
その秘密は、4つの徹底
ルークスは、この4つを、忠実に実行している打者だと考えます。
この4つを徹底しているから、バットスピードが遅くても、ミスが少ない。ミスが少ないから、打率.277、OPS.714というMLB平均並みの数字が残ります。
クワンは「見極めて四球」、アラエスは「振って当てて打率」、シンプソンは「当てて、転がして、走る」、メイドロスは「前で捉えて長打」。そしてルークスは「短く振って、ミスを減らす」。バットが遅くても、勝ち方は一つではありません。
一方で、長打率はMLB平均をわずかに下回り、四球も多くありません。突出した武器があるタイプではありません。それでも、遅いバットで28歳からMLBに居場所をつくった。その事実が、「パワーがなければ通用しない」という思い込みを崩してくれます。
まとめ
● ルークスは、2026年のMLBで下から5番目にスイング速度が遅い打者(平均107.8km/h)
● 8シーズンのマイナーを経て、28歳でデビュー。2026年は打率.277、10本塁打、OPS.714
● 体修塾が最も大事にするスクエアアップ率は約84%。MLB平均(約81%)を上回っている
● 「短く振る」「空振りを減らす」「芯で捉える」「打球を低く保つ」を徹底し、遅いバットでMLBの居場所をつくった
パワーがないから無理だ、と決めつける必要はありません。自分のスイングで出せる打球速度を、どれだけ引き出せているか。ルークスは、その見本です。
あわせてクワン、アラエス、シンプソン、メイドロスの記事もどうぞ。
データ出典:Baseball Savant、MLB Stats API(2026年9月29日時点)
あなたのスクエアアップ率、測ってみませんか?
スクエアアップ率は、体格やパワーに関係なく、練習で高められる数値です。
自分のスイングで出せる打球速度を、どれだけ引き出せているか。体修塾の個別指導では、その数値を確認したうえで、あなたのスイングに合った改善を一緒に進めます。
